否定の契機

『人類の知的遺産49 バクーニン勝田吉太郎

 ついでバクーニンは、反動派を二つのカテゴリーに区分する。一は「純粋の徹底的な反動派」であり、他は「徹底しない、妥協的な反動派」である。前者は、彼らの肯定が保証され、確保されるためには否定者を抑圧せねばならないと認める。しかし彼らの肯定は、否定の契機によって対抗される限りにおいてだけ肯定的でありうること、そしてもしも否定を完全に抑圧打倒する暁には、敵対者が除去される以上、もはや自ら肯定たることをやめて、むしろ否定の完成に終ってしまう。このことを、彼ら「徹底的反動派」は理解しないのである。このようにバクーニンは、ヘーゲル弁証法における否定の契機の役割と意義とを強調することによって現存秩序にしがみつく反動派の哲学的存在理由を掘り崩してしまう。(p75)