革命戦術としての文書の焼却

『人類の知的遺産49 バクーニン勝田吉太郎

 青年インテリゲンツィアは、本能的な革命家である人民大衆の手本となって、彼らの面前で国家権力に対する反逆行動を身をもって実地に示されねばならない。そうすることによって大衆のうちに潜在する"破壊の情熱"に点火し、すべてを焼きつくす一大火焔へと燃え上らせることができるであろう――バクーニンはこう考えた。
 火は、まことにバクーニンの革命戦術論のなかで象徴的な意味を帯びている。一切の文書の焼却、彼はここに大きな意味を認めていた。(p28)


 「文書の焼却」というバクーニン的反逆の手法は、現代の高度に発達した管理社会の現実に照らしてみても、依然として有効性を保持しているのではなかろうか。実際のところ、コンピュータによってあらゆるものを記号化しつつ貫徹される現代社会の管理の機能と統治の操作は、たとえばコンピュータ・シートの破棄と焼却によってとりかえしのつかない打撃を蒙ることになるであろうし、その結果「現存の社会関係に重大な無秩序と混乱」とをうみ出すことになるかも知れないからである。(p30)