2012-08-28から1日間の記事一覧

文武の奨励

『日本の名著29 藤田東湖』回天詩史 藤田東湖 このころ斉昭公は鋭意治政の改革を企図されており、時期がおくれることばかりを心配されていた。拝謁のときは民を安んじ国本を固めるという根本問題から、教育・軍事のことにいたるまでがとりあげられ、しばしば…

武術好み

『日本の名著29 藤田東湖』常盤帯 藤田東湖 殿は幼少のときから種々の武技を好まれ、強弓を引いたり、荒馬に乗ったりしたもうたが、とりわけ鉄砲の術にすぐれたまうことは人みなの知るところである。そればかりでなく、大砲の製造から砲架・火薬・弾丸の性質…

野外軍事訓練

『日本の名著29 藤田東湖』回天詩史 藤田東湖 天保八年(一八三七)正月、公は武器庫の兵具の修備を命じられ、また藩邸の諸士の武装を点検された。二月十二日〔この日は家康公が征夷大将軍を拝命された当日である。公は本を忘れず、太平の無窮ならんことを祈…

厳重な防備

『日本の名著29 藤田東湖』回天詩史 藤田東湖 わが斉昭公ははやくから憂憤して攘夷の志がおありになった。ふかく徳川家の祖宗のお心を体し、また夷狄の企図を洞察して次のように考えたもうていた。「賊が海上に出没する意図は測るべからざるものがあり、防備…

武士の土着化

『日本の名著29 藤田東湖』常盤帯 藤田東湖 むかしは武士はみな山林・田野に居住し、あるいは自分で耕作したり、木こりをしたり、あるいは家の子郎党にこれをやらせ、山では狩猟し、川では漁猟し、寒暑も風雨もいとわなかったので、精神も勇猛で身体壮健であ…

堅牢な船艦

『日本の名著29 藤田東湖』常盤帯 藤田東湖 しかし当面の領内の海防をおろそかにしてはならぬと仰せられて、しばしば海岸に行っては形勢をごらんになったが、領内の海岸は南北二十里にわたっている。寛政のころから文政年間(一八一八~二九)にかけて、海防…

神国の土地一寸たりとも夷狄のために取られるのは神国の恥である

『日本の名著29 藤田東湖』常盤帯 藤田東湖 また殿がいつも側近のものたちに仰せられるには、「神国は四方みな海にかこまれているので、どの海岸に外夷の船が攻めよせてくるかも予測しがたい。しかしはじめは異人は海上から威嚇砲撃などをしても、後には上陸…

邪教の信奉

『日本の名著29 藤田東湖』常盤帯 藤田東湖 ところで西北のヨーロッパ人の国々は数多いが、みな邪教を信奉し、世界中のあらゆる国という国を奪い取ることばかりをたくらみ、世がかわり人がかわってもその志を遂行しようとする連中である。天文(一五三二~五…

外夷を防ぐ方策

『日本の名著29 藤田東湖』常盤帯 藤田東湖 ところで外夷を防ぐ方策も近ごろでは種々の議論があり、その説はそれぞれに違うが、要約するならだいたい三つにすぎない。 天主教〔俗にいう切支丹の本当の名称〕の害悪はまことに憎むべきであるから、家康・家光…

武具・兵器のための充当

『日本の名著29 藤田東湖』回天詩史 藤田東湖 予はかつて幕府中興の意見書を差し上げ、その冒頭で日光神廟の参拝を行なうべしと論じたことがある。ところが間もなく外夷の危険がせまったので、幕府は諸侯に命じてきびしく兵備をととのえようとした。しかし太…

文武の道

『日本の名著29 藤田東湖』弘道館記述義 藤田東湖 思うに文武の道にはそれぞれ大と小とがある。天地を貫く秩序を明らかにし、天下の動乱を平定するのは、それぞれ文武の大なるものである。書物を読み、書物を所蔵するとか、剣や矛を使いこなすとかは、文と武…

刀と槍の訓練

『日本の名著29 藤田東湖』常盤帯 藤田東湖 そもそも日本の武勇は万国にすぐれ、なかでも刀と槍の術の鋭さ、強さはあらゆる外夷がまねしようとしても及ぶところではない。神代から十握の剣、八尋の矛をもって凶暴な敵を平定し、近く戦国時代にも何本槍、幾振…

飢饉の憂い

『日本の名著29 藤田東湖』常盤帯 藤田東湖 太平の時代にも免れがたいのは飢饉の憂いである。この災難がいつ来るかは予測しにくいが、二、三十年から四、五十年の間にはかならずあるというのが物知りのいうところである。天明の飢饉から五十年ばかりして天保…

品行だけを慎めばいいという訳ではない

『日本の名著29 藤田東湖』常盤帯 藤田東湖 およそ士農工商の四民にはそれぞれその仕事がある。武士の仕事は文武の道である。それなのに品行だけを慎めば文武の道はそれほど励まなくてもいいだろうというのはいいのがれというもので、こういう人間はかならず…

打払い

『日本の名著29 藤田東湖』回天詩史 藤田東湖 当時世間では、幕府は必ず旧法を厳守し、外国船を焼きすて、異人を殺して威力を海外に誇示するであろうと思っていた。ところが古山らが来てからは、その異人に対する訊問ははなはだ寛大で、難破して上陸した場合…