君主制

愛国心の教科書』渡邊毅

 ヨーロッパでは、王朝をなくした国々でも、王朝を追慕する心情がいまだに根強く残っているところがあります。ポーランド芸術公団総裁・ワジミール・サンデッキ氏はいいます。
 「君主をもつ国々は、国民に生きる希望と安全保障にかかわる意識を与えてきた。欧州における好例は、一九七五年十一月、立憲君主制に戻ったスペインだ。私は十七、十八世紀の欧州の王国について学んだことがあり、そのことがよく理解できる。何よりも君主制が廃止された後、ポーランドがついにかつての威光を取り戻すことはなかったことでも明らかだ。
 人間には古来、日本の皇室のように、歴史的文化的遺産に根ざした”畏れ”が必要だ。議会制民主主義に裏付けされた君主制や伝統への尊敬、民族精神は、結果として国民に幸福をもたらす。すべてを根こそぎ変えてしまったり、古いものへの価値を無視した改革は意味がないのだ」
 フランス革命でルイ王朝が倒れた後にやってきたのは、ナポレオンの専制と遠征です。ロマノフ王朝を倒したロシア革命後には、スターリンの独裁専制政治が行われ、約二千万人の国民が命を失っています。カイゼルがいなくなったドイツでは、独裁者ヒトラーが登場し、中国革命後には数千万人の国民が命を落としています。