哲人政治

『アンベードカルの生涯』ダナンジャイ・キール

 不可触民制の起源は今もって謎である。ただそれがカースト制度に由来することだけは広く認められている。ヴェーダ時代(ヴェーダ聖典が成立した時代。紀元前一五〇〇年以後の数百年間)のアーリア人にはカースト制はなかった。しかし時が経つにつれて労働の分化と個々の適、不適、能力、好みに従って種々の職業についていった。学問にふけるものはやがてブラーミン(僧侶)となり、統治するものたちはクシャトリア(王侯、戦士)と呼ばれ、商売を生業とする集団はヴァイシャ(商人)となっていった。そして上記三階級に奉仕するものがシュードラ(労働者、農民)と呼ばれた。(p18)


 カースト制度は原理的に優生学的見地から産出されたものではない。それはヒンズー社会の社会的優位者が、その尊大さと利己主義を社会習慣化し、その権威を下層民に押しつけようとするために作り出した社会的制度である。(p201)