自然的自由と自然的平等

『概論 ルソーの政治思想』土橋貴

 先述したとおり、自然と歴史の対立は、恩寵と自然の対立が世俗化されたものであった。古代と中世の神学者にあっては、恩寵に刃向かうものとしての位置を与えられた自然を構成する自由は、悪をもたらす元凶とされたがゆえに、人間は、自由を否定し、神への信仰を高めることによってのみ、恩寵に与り、救済されるとされた。すなわち、キリスト教的神義論から言えば、自由はネガティヴなものであり、その点でルソーは、自由を悪をもたらす原因と考えるが、また現実を否定して現実を変革するには、自由が必要であることを思いついた。(p17)


 ではルソーは、それをどこから見つけようとするのか。ルソーは、すでに『ポーランド王への返答』で、次のように述べていた。「悪それ自体から悪を癒す」。悪とは「鎖」であり、悪しき鎖から善き鎖を発見しなければならないのである。(p17)