南北朝鮮との新たなる歴史戦に備えろ!

『正論 2018年7月号』

 南北朝鮮との新たなる歴史戦に備えろ!  八幡和郎

 南北統一なのか、共存体制なのか分からないが、新しい枠組みは北東アジアの従来の勢力バランスを変更し不安定にしかねないし、北朝鮮の復興や統一に関するコストを日本につけ回しすることも警戒すべきである。半島側からは、独りよがりな歴史観を持ち出して、日本の安全に配慮しない、あたかも義務であるように負担を要求してくる可能性がある。それを防ぐためにも正しい歴史観を持つ必要があるが、困ったことに、多くの日本人は日本国家が古代からどのような歴史認識を半島国家に対して主張してきたか知識を持たないし、政府もきちんと整理をしていない。
 「朝鮮は、過去二千年の歴史で、小石一つ日本へ投げたことはない。日本は何度も侵略したにもかかわらずだ」と、昨年、訪朝した日森文尋・元社民党国対委員長は、平壌の万寿台議事堂で演説したが、高麗がモンゴルと一緒に日本を攻めてきたことすら忘れている。しかも、許せないことに、韓国の歴史教科書には、元寇のことが1行も書かれていない。日本が教科書から文禄・慶長の役を削除したらどれだけ韓国側が怒るだろうかと想像すれば、日本政府がこれを放置していることもおかしいのだ。……
 高麗は、元とともに日本を侵略しようとした。いわゆる元寇について、高麗が最初は渋っていたのは事実だが、途中からは、むしろ、けしかける側に回っており、「元・高麗寇」とでもいうべきである。この侵略が、古代の終焉から没交渉だった日本と半島の近世史再開の原点となった。
 その約300年後の豊臣秀吉の大陸遠征については、戦後の日本人は負け戦だと信じ込まされているが、中国側の受け止めとしては秀吉が死んで勝手に撤退してくれたので助かったという認識だし、朝鮮は、その隙に独立した満州族の清に属国として服従したのである。
 江戸時代の朝鮮通信使を日朝対等の関係と信じている人も多いようだが、これも誤りで、戦後の韓国人の思いつきに過ぎない。日本側は朝貢使節だという受け取りをしていた。中国の従属国家と対等の関係などありえないのだ。……
 南北分断は、日本にはまったく責任はない。ソ連に条約を干犯しての対日参戦を促すために米国や中国など連合国がソ連に38度線以北を占領させたことから起きた問題であって、たとえば、日本敗戦から数年のうちに独立させるということであれば、南北分断も、朝鮮戦争も、とげとげしい日韓関係もなかったはずである。(p116)