韓国は福島の6倍のトリチウムを垂れ流している

『WiLL 2019年12月号』

 韓国は福島の6倍のトリチウムを垂れ流している  奈良林直(東京工業大学特任教授)

 穴だらけの主張

 韓国政府が、今度は「トリチウム水」で日本に難癖をつけています。福島第一原発から放出される放射性物質トリチウムを含んだ処理水をめぐり、IAEA(国際原子力機関)に「隣国として、海洋放出の可能性とこれに伴う潜在的な環境への影響に深刻な憂慮がある」と書簡を送ったのです。
 その後、IAEA年次総会の場でも「世界の海洋環境に影響する」と批判を続け、日本側は「科学的根拠がない」と反論しました。
 また韓国五輪委員会は、東京五輪選手村の食事に福島の食材を使うことに懸念を表明しています。文在寅政権は、「原子力に汚染された日本」というプロパガンダを世界に発信し、新たな政治カードにしようと目論んでいるのです。
 ところが、韓国の主張は穴だらけです。
 日本の原発は、濃縮ウランを燃料とする軽水炉を採用しています。対して韓国では、一部の原発で天然ウランを燃料とする重水炉が導入されている。重水炉は、天然ウラン資源が豊富なカナダで開発されたものですが、軽水炉に比べてトリチウム排出量は一桁多いとされています。
 現在、開発国のカナダのほかに韓国、中国、インド、パキスタンなど七か国が重水炉を保有しています。重水炉で排出されるプルトニウムは、軽水炉から出るものより質が良い。そのため、核兵器にも容易に転用可能とされています。重水炉保有国に中国やインド、パキスタンが名を連ねているのは、そんな背景もあります。北朝鮮も、自前の重水炉で核兵器を作りました。
 日本海に面する韓国の月城原発は、四基の重水炉を稼働させており、二十年で累積六千兆ベクレルのトリチウムを海洋放出していることがわかっています。一方、福島第一原発に貯留されているトリチウム総量は、約千兆ベクレル。つまり、韓国は福島の六倍ものトリチウム日本海に垂れ流していることになります。韓国政府は日本より先に、自国を省みるべきではないでしょうか。
 さらに世界へ目を向けると、イギリスには年間千五百兆ベクレル、フランスに至っては年間一京三千七百ベクレルものトリチウムを排出する再処理施設があります。文字通り、ケタ違いです。

 飲んでも大丈夫

 極端な話、福島原発の処理水を毎日二・五リットル飲んでも、年間被ばく量は約一ミリシーベルト。これは原発の危険性を煽る反原発派にとって不都合な真実なので、テレビや新聞でほとんど報道されません。(p184)