3人の空想的社会主義者たち

『空想から科学へ マルクス・フォー・ビギナー②』エンゲルス

 解説  浜林正夫

 フランス革命が生みだしたものは、けっして啓蒙主義者がいうような「理性の国」ではなく、大資本や大地主が支配する搾取社会であった。小市民や小農民たちの「所有の自由」は失われ、「所有からの自由」(所有がないこと)が残った。"金がすべての世の中"になり、犯罪が増加し、フランス革命のスローガンのひとつであった「友愛」にかわって騙しあいの競争があらわれた。……
 この実態に幻滅をおぼえる人々が19世紀になるとあらわれてくる。それがサン-シモンでありフリエであり、それに先立ってイギリスで資本主義を乗り越えようとする新しい試みをはじめていたロバート・オーエンであった。しかし、この時期にはプロレタリアートはまだ未発達で、自立的な政治行動をする能力はなく、フランス革命の最高揚期(ロベスピエールの「恐怖政治」といわれる時期)にパリの無産大衆(サン・キュロット)が一時支配権を握ったとはいえ、それはわずか1年半で崩壊してしまった。こういう状況だから社会主義の理論も未成熟で、空想にとどまっていたのだが、しかし、空想の下に「天才的な思想の萌芽や思想」が隠されているのである。(p11)