資本主義の法哲学的な背景

『一般法哲学』ホセ・ヨンパルト

 資本主義の法哲学的な背景

 資本主義(Kapitalismus、capitalism)は、19世紀から支配的立場をとるようになった経済機構であり、共産主義はこれに対する反動として生まれた。資本主義は、社会制度上からみても、また思想上からみても決して法哲学から生まれたものではないが、近代法哲学と深い関わりをもつことも事実である。資本主義の生成要因は、次のような形で説明がなされる。
 経済要因としては、生産のために労働ばかりではなく、資本も(機械等を作るために)必要となったことが挙げられる(資本+労働=生産)。このような経済的な要素が、決定的な役割を演じたことは明らかである。
 精神的要因としては、自由放任主義 "Laissez faire" が支配的になり、「私的自治の原理」(Prinzip der Privatautonomie)を基本とする民法典が成立して、自由な市場経済を保障するようになったことが挙げられる。しかし、私的自治は濫用され、年少者労働や長時間労働などの弊害をもたらした。19世紀の資本主義的な考え方では、平等が軽視あるいは無視され、自由だけが最大善とされたのは確かである。(p107)