自然の法律について

『法の精神 上巻』モンテスキュー 野田良之 他訳

 自然の法律について

 これらすべての法律に先立って、自然の法律がある。こう呼ばれるのは、それらがわれわれという存在の構造だけに由来するからである。これらの法律をよく知るためには、社会の確立前の人間というものを考察しなくてはならない。自然の法律は、この人間がそのような状態において受け取るようなそういう法律であろう。(p12)


 ホッブズが、人間というものにまず帰している相互に征服し合いたいという願望は道理にかなっていない。命令とか支配とかいう観念は、非常に複合的で他の観念に依存するところが多いから、人間がまずもつような観念ではないであろう。
 ホッブズは、「もし人間が生来戦争状態にないとすれば、なぜ彼らはいつも武装して出かけるのか、また、なぜ自分らの家を閉めるための鍵をもっているのか」と問う。だが、社会が確立された後でなければ人間に生じえないこと、攻撃し合い、みずからを防御する理由を彼らに求めさせるようなことを、社会の確立前の人間に帰するのは解せないことである。(p13)