首相公選制

『そろそろ憲法を変えてみようか』渡部昇一 小林節

 小林 次は第五章の「内閣」です。ここでは「首相公選制」の問題がありますね。
 今、日本人で森総理大臣を支持している人はほとんどいないと思います。でも、今の日本の制度では首相は実質的に派閥ボスの順送りで選ばれますから、森さんでも総理になれるわけです。…
 それを変える方法が一つあります。それは、首相公選制でも大統領制でもいいのですが、全国民から一人区で選ばれた人を行政のトップに据えるという方法です。そうすれば、有象無象の議員たちが何をやろうが、選ばれた人物には全国民から支持されているという強みもあるし、同時に全国民を裏切れないという恐怖感情が湧いてきますから、メリハリのきいた政策執行ができることになる。欠点は選ばれた人物に当たりはずれがあることですが、はずれたらクビにして、また選び直せばいいことです。

 渡部 素人が見ても、今の日本は三権分立とは言えませんからね。二権分立ですよ。司法は独立していますが、行政府と立法府は同じなのですから。昔は王さまとその家来が政府であり、王さまの力をチェックするのが立法府である議会でした。そして裁判所があって三つに分かれていて明快だったのですが、今は王さまがいませんしね。

 小林 国民の代表である議会の延長線上に内閣があるわけですが、内閣の首班が議員たちのボスだから、一元化してしまっているのです。(p188)