ナチスの税金革命① 労働者には大減税

ナチスの発明』武田知弘

 労働者には大減税

 ナチス政権以前のドイツは、不景気のために税収が少ない、税収の確保のために増税を行なう、増税で景気が悪くなり税収はさらに減る、という悪循環に陥っていた。
 その悪循環を断ち切るため、ナチスは政権をとった後、すぐに大減税を行なった。この減税でもっとも恩恵を受けたのは労働者だった。
 ナチスが行なった減税は、次のとおりである。

 ①労働者に対する救済金には税金をかけない
 当時のドイツの労働者は賃金が低く、政府から支援金を受けて生活している者が多かった。その支援金には税金はかけないことにした。

 ②失業救済掛金の減額
 これは現在の日本の失業保険(雇用保険)にあたる。ドイツには、当時から失業保険があったが、この失業保険の掛け金が引き下げられた。つまり、社会保険料が値下げされたということだ。

 ③低所得者の税金軽減
 所得が低いものに対して、減税や免税がされた。低所得者増税を繰り返している今の日本とは逆の政策である。

 ④多数家族に対する減税
 扶養家族が多い者の税金を下げた。家族が多い者が少ない者よりも税金が少額なことは今では当たり前になっているが、それをはじめたのはナチスだったのだ。

 ⑤市民税(地方税)の減額
 今の日本で言うところの住民税引き下げである。

 これらを見ればわかるように、ナチスは労働者、低所得者、家族の多い者に対して、寛大な施策を行なった。これらの税金対策は、第二次大戦後に多くの先進諸国でも導入されたのである。(p128)