人民主義憲法学

『岩波講座 憲法5 グローバル化憲法』阪口正二郎 編

 グローバル化の中のアメリ立憲主義  木下智史

 また、「法化された憲法」をアメリ立憲主義の特質として挙げたグリフィン自身、将来にわたって、そのような状況が望ましいかどうかは疑問としている。グリフィンは、政府に対する不満がもっとも蓄積しているのは、代表機関たる議会のありようであり、そこにもっと関心が向けられるべきであるのに、重要な政治・社会問題の判断が裁判所や独立行政機関によってなされることにより、選挙で代表者を選ぶ意義が低下してしまうことを憂慮する。
 アメリ立憲主義の特質とされてきた違憲審査制がその機能低下を指摘されるようになるのと軌を一にして、近時、有力に主張され始めたのが、人民主義憲法学の主張である。人民主義憲法学といっても体系的な主張がなされているわけではないが、最大公約数的には、一般市民の政治参加の保障を憲法の中心的目的に据える立場ということができる。(p163)