マルクス主義=有機農法と近代農法の間で迷走

『21世紀のマルクス伊藤誠 大藪龍介 田畑稔 編

 マルクスエンゲルスは『共産党宣言』の頃には、資本主義的発展によって小農は必然的に没落するであろうという「小農没落論」を共通に持っていたが、次第にマルクスは小農などの小経営の「自由な個性」に関わる積極的な特質や農業共同体の「自然の生命力」に基づく共同性などの意義を認めてそれを脱却し、晩年の「ザスーリチへの手紙」に至った。エンゲルスも同時期に「マルク」という論文で、古いドイツの「マルク共同体」の再生に触れてマルクスの立場に近づいたこともあったが、後述するように結局、生産力増大による歴史の法則的発展を重視するエンゲルスは、マルクス死後、従来からの単線的な歴史観に復帰していったように思われる。(p319)