定住的な農業生活

『世界資本主義Ⅰ』岩田弘

 前にも触れたように、人類が五百万年ほどの採集狩猟生活の時代の後に、焼畑農耕などの原始的な移動農業生活を開始し、そこから定住的な農業生活へと移行したのは、せいぜい5千年ほど前であったが、それは人間コミュニティに巨大な革命をもたらすものとなった。定住的な農業生活のためには、人類は、同一土地を繰返し農地として使用する方法――土地地力の維持再生産システム――を確立しなければならなかったからであり、またそのためには、灌漑水路や排水路の建設、地球の広大な表面を耕地や草地や森林へと計画的に配分することなどが必要となったからである。そしてこれは、土地地力の維持再生産を基軸とする広範な地域的コミュニティへの人間コミュニティの統合・再編を必然にしたからである。こうして始まったのが、多数の農業共同体それ自体の共同体的な結合や統合の開始であり、さらにはまたそれらの国家的統合の開始でもあった。(p166)