ふさわしい名称

『帝国を壊すために』アルンダティ・ロイ

 国連外交という「うるわしき任務」(経済制裁と武器査察のことだが)を利用して、イラク政府が膝を屈し、イラクの人々が飢え、五〇万人のイラクの子どもたちが殺され、イラクの社会設備に大損害を与える事業をなしとげ、さらにイラクの武器の大部分が破壊されたことを確認するという、この歴史上どう見ても比するものなき卑劣な行いのあとで、「同盟軍」「意志の連合」(脅された者たちと買収された者たちの連合、と言うほうが通りがよくありません?)は、とうとう侵略軍を差し向けたのだから!
 「イラクの自由作戦」? そうじゃないでしょう。よりふさわしい名称は、「競争しましょう、でもその前に、わたしにあんたの足を折らせてちょうだいね、作戦」。
 これまでのところ、イラク軍は、貧しい装備と飢えた兵士、旧式の銃と古ぼけた戦車で、どうやら一時的に「同盟軍」を惑わせるか、ときにはその裏をかくことさえあるようだ。世界がこれまで見たなかで、いちばん金持ちで設備も最高、もっとも強力な軍隊に直面して、イラク軍は見事な勇気を示し、じっさい防衛と言ってもいいような闘いさえ作り出している。その防衛を、ブッシュ=ブレア組は即座に、ごまかしで臆病と非難したけれど。(でも、ごまかしは、わたしたち現地人にとっては、古くからの伝統なんです。わたしたちが侵略され、植民され、占領され、あらゆる尊厳を剥ぎ取られるとき、わたしたちは狡猾さとご都合主義に頼るほかないのだから。)(p151)