悪鬼の迫害

『幽囚回顧録今村均 中公文庫

 豪軍のS中尉が筆頭となり「片山はモロタイで男らしく罪を自白し、さすがは日本将校だと称賛されたというのに、なんだこれは……。(裁判準備の余裕も与えられず、飛行機で到着した翌日から裁判がはじめられ、全くもうろうとした頭で、真実でないことを述べた)などと、全部をくつがえしている。彼はギャマン・クリスチャンだ」と非難し、事ごとに意地悪い迫害をはじめ、それにならい、s准尉、B伍長が手荒らなことをし、些細のことにも難くせをつけ重労働を課した。この間に彼がしめした宗教的忍辱の態度は、いよいよ同信の人々をひきつけ、収容所全員三百人の尊敬を集めた。さすがに所長とバックハウス中尉とは、片山大尉に対する信用をうすめてはいなかった。(p67)