目には目を

ポーランド現代史の闇  西岡昌紀
http://asread.info/archives/1902/3

 〈私は、一九四五年に彼ら(ユダヤ人)が大勢のドイツ人を殺したことを知ってしまった。ナチスたちではない。ヒトラーの手下たちでもない。ドイツの民間人である。ドイツの男性、ドイツの女性、子供たち、赤ん坊たちである。その人たちの罪は、ただドイツ人であることだけであった。いかにユダヤ人たちの怒りが理解しうるものであったとしても、ドイツ人たちはドレスデンにおいてよりも、あるいは広島における日本人よりも、真珠湾におけるアメリカ人よりも、英国本土の戦いにおけるイギリス人よりも、あるいはポーランドポグロムユダヤ人迫害)でのユダヤ人自身よりも、多くの民間人を失ったのである。私はそれを知り、そしてさらに知りたいと切望した。(中略)私は聖書学者ではないが、土曜学校に通った。(中略)そして私は、トーラ(ユダヤ教聖典)が私たちに正直な証人であることを命じていることを、つまり誰かが罪を犯したことを知りながらそれを報告しなかったら私たちも罪を犯すことになる、と述べていることを知っている〉

 〈私はヨーロッパで調査を進める一人のユダヤ人として、もしユダヤ人が何らかの道徳的権威を守ろうと思うならば、ユダヤ人の司令官たちが何をしたかを報告する義務があると感じたのである。私はもしかしたら、一部のユダヤ人たちが私に向かって、「どうしてユダヤ人なのにこんな本を書けるのだ?」と尋ねるかもしれないと想像した。そしてその問いに対する私の答えは、「いや、なぜユダヤ人がそれを書かずにいられるのだ?」以外にはないことも、私はわかっていた〉

ジョン・サック著、『目には目を』前書き十~十一ページより。西岡訳)