内部資料

『「東京裁判」を裁判する』渡部昇一

 ところが、二〇〇一年になって北村稔さんという立命館大学の教授が『「南京事件」の探究――その実像をもとめて』(文春新書)という本を出した。北村先生はもともと南京事件に興味があったわけではなく、シナの近現代史の研究家だった。ちょうど一つの研究が終わり、次に何をやろうかと考えていたときに南京事件の大虐殺説は何を根拠として出てきたものなのかに興味を抱いた。そこで純粋に文献的な調査を始めたところ、台湾に当時の蔣介石政府の内部資料が残っていることを突き止めた。その資料を読んでみると、南京大虐殺の一つの根拠となった『WHAT WAR MEANS』という本を書いたティンパーリーというオーストラリア人(当時マンチェスター・ガーディアンの特派員として南京にいた)が蔣介石政府の情報活動に協力し、見返りに金銭を受け取っていたことがわかった。また、彼に資料を提供したと思われる金陵大学という南京にある大学のスマイス教授という人もまた、蔣介石政府から金銭を受け取っている関係にあったことが明らかになった。(p10)