中国兵の集団的不法行為

『「昭和の大戦」への道』渡部昇一

 中国兵が戦場において不法行為を働くということについては、当時、国際的に "定評" があった。彼らが行くところでは略奪、放火さらには殺人が頻発し、そのため、中国の一般市民ですら恐怖感を抱いていた。
 南京にいた中国兵が同種のことを働いたということについては、当時、南京にいた米国の副領事が、漢口の米国大使に送った報告に記されている。その一部を紹介しよう。

 「しかしながら、ここで一言申し上げて置かねばならないのは、シナ兵自身は日本軍入城前に掠奪をしなかったわけではないということです。最後の数日間は疑いもなく、彼らによって人間や財産に対して暴行がなされました。シナ兵が大慌てで軍服を脱ぎ、平服に着替える最中には種々の事件が起き、その中には着物を奪うための殺人も行われたと聞いています。このような無秩序な時において、退却する軍人や一般人が計画的ではないにせよ、掠奪を働いたのは明らかです。(中略)このため、残留した住民には、日本人が来れば待望の秩序と統制が回復するだろうと、日本人を歓迎する気分さえあったことは想像できるところです」(中村粲大東亜戦争への道』)

 実際、さまざまな当事者たちの証言によれば、日本軍入城後に火災が発生した例は皆無に近く、火事はすべて陥落前に起こったことだという。(p190)